近年では昇進したくない・出世したくないというという若手社会人の人も増えてきています。
2015年にリサーチ・市場調査会社であるクロス・マーケティング社が20~39歳までの若手社会人を対象に実施した調査によると、出世意向がある層が40.8%だったのに対して、出世意向がない層が59.2%でした。
一方で、転職サイト大手のエン・ジャパン株式会社の調査がミドル以上である35歳以上のサイト登録者に対して行った調査では「出世意欲がある」と回答した人は59%、「出世意欲がない」と回答した人は22%となっていました。
つまり、35歳以上の年齢の人は出世意欲が高い一方で、若手社会人の出世意欲は低いとの結果がでています。
それでは実際に出世する人としない人ではどのような違いがあるのでしょうか。
今回の記事では、出世する人としない人の価値観の違いと、現在の新しい価値観であるプロティアンキャリア理論について解説していきます。
「出世」=「昇進」時代の価値観
この章では従前までの考え方である「出世」=「昇進」時代の価値観について解説していきます。
終身雇用制度により一つの会社でキャリアを終えるのが当たり前
以前までは日本企業は終身雇用という制度により、一つの会社で出世し、キャリアを終えるのが当然の時代でした。
高度成長期やバブル経済期は、日本経済が力強く成長しており景気の良い会社が多かったため、一つの会社で働き出世することで給料も大きく増やすことができたためです。
また、高度成長経済期ということもあり、自分の仕事が給料や会社の成長に直結するため、やりがいが大きかったというのもあります。
キャリアの考え方としては一つの会社でいかに仕事が出来るか、出世コースにのることができるかという点が重要視されてきました。
昇進に必要な能力とは
昇進する人の特徴としてあげられるのは下記の能力を持っている人です。
- 他人の意見を受け止められる
- 決断力がある
- 失敗を糧にして成長できる
しかしながら、これらの能力を持っているからといって必ずしも昇進できるわけではありません。
他にも
- 社内特有のスキル
- 上司との相性
- 社内での政治力
など様々な運や能力が必要となるためです。
また、昇進に必要な能力の中にはほかの会社では使えないものも少なくありません。
社内特有のスキルや政治力といったものは他社では使えない代表的な能力といえるでしょう。
このため、昇進のためにいくら能力を身につけても本質的な成長や、市場価値をあげることには繋がりにくい側面もありました。
終身雇用制度によって、生涯一つの会社で勤め上げる場合は社内でしか使えないスキルでも問題はありませんでした。
しかしながら、近年では社内でしか使えないスキルを重要視するのではなく、本質的な成長を求めるようになってきています。
「出世」=「昇進」ではなく、「出世」≠「昇進」というように価値観が変わってきたためです。
次の章で具体的に説明していきます。
「出世」≠「昇進」時代の価値観
近年では「出世」≠「昇進」といった価値観に変わりつつあります。
つまり、一つの会社で昇進することが必ずしも自分にとっての出世にはつながらないということです。
「出世」≠「昇進」といった価値観になった背景や具体的にどのような価値観になっているのかを解説していきます。
バブル崩壊や終身雇用時代の崩壊
「出世」≠「昇進」といった価値観になった背景にはバブル経済崩壊や終身雇用時代の崩壊などによる日本経済の落ち込みがあります。
バブル経済崩壊後は失われた30年と呼ばれているように日本経済は大きく低迷しました。
物価は伸び悩み続け、いまだに本格的な経済回復にはいたっておりません。
会社の景気も悪くなり、出世しにくくなった、あるいは出世しても給料は上がらないという状況が続いています。
同時に働く人の昇進に対するモチベーションも下がってきたという背景があり、働き方の価値観や考え方が変わってきました。
リスク回避志向の高まり
昇進に対するメリットが薄れてきたことで、働き方や価値観の考え方は変わってきました。
昇進によって地位をあげるということを重要視しなくなってきたのです。
地位をあげることはそれだけ多くの責任を伴うため、仕事に対するリスクも大きくなります。
リスクをとって地位をあげるよりも、働き方や仕事内容、給与など総合的なバランスを重視するという価値観に変わってきました。
仕事自体のやりがいや成功よりも他者への評価を重要視
昇進に対する価値観だけではなく、仕事に対する価値観も変化してきました。
今までは仕事にやりがいや達成感を求める傾向にありましたが、近年では顧客からの評価や会社・周りからの評価といった他者からの承認を重要視するような傾向にあります。
会社のために尽力するということではなく、自分自身の心理的な成功を目指して働く人が増えてきたということです。
社会的な評価や承認を得られることが出世であり、社内での地位をあげる昇進が出世ではない、つまり「出世」≠「昇進」というように価値観が変わりました。
このような背景の下、心理的成功を目指す新たなキャリア理論が台頭してきました。
新たなキャリア理論について次の章で解説していきます。
心理的成功を目指す新しいキャリア理論とは?
心理的成功を目指すキャリア理論としてプロティアンキャリア理論という考え方が台頭してきました。
プロティアンキャリア理論とは心理的な成功という価値観を重要視し、環境の変化に応じて、自分自身を変化させる新しいキャリア理論のことです。
従来の出世は一つの会社の中で係長→課長→部長→役員という風に、タテに昇進していくことで一つの組織で完結していました。
一方で、プロティアンキャリア理論においての出世はヨコ、すなわち水平方向にキャリアアップしていくことです。
つまり一つの組織にとどまるのではなく、転職や独立などを含め縦横無尽に展開していき、経験を積み能力を高めていくようなキャリア理論のことです。
プロティアンキャリア戦略塾
プロティアンキャリア理論において重要なのは組織ではありません。
組織はスキル蓄積していく過程であり、重要なのは自分自身の成長や満足感、他者からの承認といった心理的な成功です。
組織の評価ではなく、社会での評価をあげていく個人を重要視「プロティアンキャリア戦略塾」です。
プロティアンキャリア戦略塾では組織での成功を重要視するのではなく、個人の心理的な成功を目指したキャリア開発を支援していきます。
転職ありきではなく、戦略ありきでキャリアプランを提案するので、本当にあなたに適したキャリアを歩んでいくことができます。
仕事は目的ではなく手段としてとらえ、「何度でも変われる自分」になり、心理的な成功をともに目指していきませんか?
まとめ
今回は、出世する人としない人の価値観の違いを、高度経済成長期とバブル崩壊後に分けて紹介してきました。
一つの企業での出世ではなく、個人の心理的な成功を目指す現代のキャリアデザインでは、自分がどうしたいかやどのようになりたいかを自己分析し、戦略的に考える必要があります。
プロティアンキャリア戦略塾では、そんな一人一人のキャリアアップをオーダーメイドで支援する活動を行っています。
気になる方はページ内から詳細をご覧ください。