副業(複業)で蓄積できるもの

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企業の経営環境の変化が激しく不確実性が高く、かつ個人が働く期間が長くなるなかで、私たちの働き方も徐々に変化しています。不確実性の高いこれからの「Withコロナ時代」の働き方について、個人はどのように見ているのでしょうか。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の調査(※)によると、回答者の会社員は以下のように答えています。

働く時間と収入の変化について

・コロナで「働く時間が減った」割合:40.6%
・コロナで「収入が減った」割合:32.1%

今の働き方の問題解消・満足度向上のために考えていること

副業、フリーランス、起業、非営利活動を考えている割合が、コロナ前に比べると高まっています。
・「副業」を考えている割合:66.6%
「フリーランス」を考えている割合:46.4%
「起業」を考えている割合:46.5%
「非営利活動」を考えている割合:55.3%

(※)一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「コロナ禍でのフリーランス・会社員の意識変容調査結果」2020/5/21
https://blog.freelance-jp.org/20200521-9170/

この調査結果から、個人の意識として副業を含めた多様な働き方についての関心が多少なりとも高まっていることが読み取れます。本コラムでは、以下のような観点で、皆さんと一緒に本業以外の副業でキャリアの経験を積むことについて考えてみます。

・副業のメリット、デメリット
・副業がうまくいく人といかない人の違い
・副業をキャリア資本蓄積に活用するという考え方

副業のメリット、デメリット

副業にはどんなメリット、デメリットがあるでしょうか。

メリットの例

①収入が増える
本業の事業が行き詰っており自身の給与に影響がある場合、または定年を迎えるなどの転機にさしかかった場合に、複数の収入源があることは個人にとってメリットの一つです。

②本業では得られない経験が積める
複数組織に所属することで、同時期に複数の経験を積むことができます。本業と似た事業であっても、一緒に働く人の価値観や顧客層が異なることで、本業とは異なる経験値となります。

③力試しができる
本業での給与や役職が、市場価値とリンクしているとも限りません。個人として活動し市場からの反応を得ることで、手ごたえを感じたり、逆に不足する点に気付けるなどのメリットがあります。

デメリットの例

①確定申告などの手続きが必要な場合がある
収入源が複数になることで、年間の収入金額によっては自ら確定申告などの手続きを行う必要性が発生することがあります。

②自由時間が取られる
本業の時間を削ることなく副業を行う場合、場合によってはこれまで自由時間だった時間を労働時間に変えることになる可能性があります。

③責任が増える
給与を受け取り仕事をしている以上、給与同等の責任を伴います。当然ですが、本業と副業、複数個所で責任を伴うことになります。

先の読みにくい社会で、収入源を分散させるのはメリットと言えます。同時に、副業経験で副業先やその顧客から得た反応を、自身の更なるスキル習得に活かせば未来の可能性を更に拡げることもできます。目先のメリットデメリットだけではなく、長期的な観点で自身にとっての副業の目的を明確化することが重要です。副業として何ができるかを考えるには、自らの過去の経験やスキルに加えて、何を大事にしてきたかなどの価値観についても振り返り、どんな仕事を通して社会にどのように役に立ちたいのかを明確にすることをお勧めします。なぜならば、それが仕事選びの選択肢拡大や、副業のやりがい獲得などにも繋がるからです。

副業でうまくいく人といかない人の違い

副業での仕事を円滑に進めるコツは何でしょうか。場合によっては副業の契約期間が更新されず、仕事選びを繰り返すこともあるかもしれません。副業先での貢献が拡がり、自分自身の経験を積むこともできる良いサイクルを回すポイントは何でしょうか。3つの観点でご紹介します。

①コミュニケーション
コミュニケーションは迅速に行うことを意識し、都度「誰が、何を、いつまでに、何のためにするか」の認識を合わせることが、円滑な業務推進に繋がります。あわせて、取り掛かる前にアウトプットのイメージを揃え、細かく進捗共有をすることも大事です。関係性を構築しながら業務を進める場合が多いからこそ、こうした基本のコミュニケーションを丁寧に取る必要があります。

②主体性
最初こそ、作業単位で業務を受けることもあるかもしれませんが、常に担当する仕事の目的を理解することが重要です。副業先の組織が目指すビジョンを理解し、その中での仕事の目的や意味を認識することが、期待に応えることに繋がります。よりよいアウトプットのためには、必要に応じて窓口担当者以外の人とも連携を取れないか可能性を探るなどのアクションもできると、副業先組織の仲間として仕事に関わっていくことができます。

③スケジュール管理
本業と副業のピークが重なると、時間管理が難しくなることもあるかもしれません。事前にスケジュールを把握して調整しながらも、先々のスケジュールを共有しながら進めることが、納期厳守と精度の高いアウトプットに繋がります。本業より関わる時間が短い場合が多い副業先とは、常にスケジュールを見える化しておくことが信頼に繋がります。

ここで筆者の経験から①についてお伝えします。急ぎの案件で、プレスリリースの編集依頼を受けました。納期より少しでも早めに提出しようと急いで取り掛かり、大幅に編集したものをご提出しました。その結果、プレスリリースを通じて伝えたいメッセージに依頼者とズレが生じた、ということがありました。納期に目が行ってしまい、「依頼について自分の認識が正しいか確認する」フェーズを飛ばしてしまったことが原因でした。期待を超えるためには、納期に関係なく相手の期待を正しくとらえることが肝となります。本業か副業かに関係なく、仕事において共通して大事なことではありますが、副業はスポットでの依頼の場合もあるからこそ、依頼の段階で提供される情報が限られる場合があるかもしれません。相手の期待値にあわせて、必要であれば追加情報を自分から取りに行くというスタンスや行動がどんな時も重要です。

副業をキャリア資本蓄積に活用するという考え方

多くのひとが、人生の多くの時間を仕事に割きます。本業に加えて副業を行うと捉えると、更に仕事の時間が長くなると懸念に思う場合もあるかもしれません。そんな時には、本業にプラスして副業を行うという捉え方ではなく、1週間、1か月、1年などの時間単位で、仕事やプライベートや学びなど、何にどれだけの時間をかけ、いつまでにどのような経験を積んでどのような未来に繋げたいのかを再整理することが有効です。副業は、仕事の仕方の一つの選択肢です。副業で成すことが自分の「軸」と結びついていれば、未来に繋がる自身のキャリア資本を蓄積することにもなります。プロティアン・キャリアで言うキャリア資本とは、ビジネス資本(スキルや経験)、社会関係資本(人との繋がり)、経済資本(お金)です。複業などを通してキャリア資本を蓄積することは、先が見えない現代において、もはや必要不可欠かもしれません。

自分自身の「軸」を見つける方法

自分自身の「軸」が何かを把握することは重要ですが、普段は意識しない場合も多いため、認識していない人もいるかもしれません。プロティアン・キャリア実践塾では、自らに向き合い、自分ならではの「軸」(アイデンティティ)を明確にします。その上で未来のありたい姿を描き、そこに向けての経験蓄積の手段や時間配分の仕方を考えます。そして都度内省しながら実践を繰り返すということを仲間と一緒に行います。経験の積み方、時間の使い方を見直したいが一歩踏み出すことに躊躇している場合、仲間と一緒に踏み出すことを選択肢として考えてもよいかもしれません。「軸」を明確にして将来を描いた時に、複業を始めとした、未来のありたい姿を実現するための様々な手段が見えてきます。
皆さんも、一緒に未来への新しい一歩を踏み出してみませんか?

2020年12月20日に開催予定のプロティアンフェスで、副業についてお話します。ここでは、「副業」を「複業」と捉え、目の前の副収入稼ぎに留まらずキャリア資本蓄積に繋がるすべての活動という大きな枠組みでもお話をします。ご興味のある方、ぜひのぞいていただけますと嬉しいです。

黄瀬 真理

黄瀬 真理

プロティアン・キャリア協会広報責任者(複業)
株式会社ライフワークス 広報マーケティングチームリーダー(本業)
国家資格キャリアコンサルタント
キャリアカウンセラー(米国cce認定Gcdf-Japan)/プロティアンブロンズ

大学卒業後、システム開発を経て、人材業界での経験約13年。
前半10年は大手転職支援企業でキャリア相談、求人紹介、面接アドバイスなど幅広く従事。現在は広報やWEBメディア編集などをメインに担当。
 
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プロティアン・キャリア協会からのお知らせ