成長につながるプロティアン流インプットとは ~情報収集をビジネス資本と社会関係資本の積み上げにつなげる~

カテゴリ:


社会人になったばかりの頃、先輩たちに「新聞を読め」「本を読め」とよく言われましたが、当時はその意味がわかっていませんでした。しかし、今となってみると、その大切さに気づく場面が多くなり、改めてこの変化する時代において、主体的に様々な情報に触れ、知見を深めていくことの必要性やその方法について考えてみたいと思います。特に若いビジネスパーソンで、これからの社会人生活の中でどのように自分を成長させていくか悩んでいる方のヒントとなれば嬉しいです。

情報収集はあくまでも手段

もちろん娯楽や趣味として、読書したり、ニュースを見たりすることは良いと思います。オーディオ評論家である長岡鉄男さんが、「手段が目的化することを“趣味”という」と言ったと聞いたことがあります。趣味としてそれ自体を“目的”に様々な情報に触れて、楽しむことは素晴らしいことだと思います。
ただ、ビジネスパーソンとして求められる情報収集は、あくまでも自分の成長に繋げるため、ビジネスを成功に導くための“手段”です。「沢山ビジネス書を読めば良い」「新聞に目を通せば良い」と、毎日の通勤時間で本や新聞を読んでも、そこで得た知識や知見が自分の「ビジネス資本」として積み上がらずに、上手く活用できていないという方も多くいるのではないでしょうか。

SNSでの情報収集が主流に

かつては新聞やテレビなどのマスメディアだけが担っていた情報発信は、SNSの利用拡大によって、個人が簡単にできるものになりました。今この瞬間にも新しい情報が次々と個人から発信されています。
SNSで気になる人をフォローして、日々ウォッチすることが習慣になっている方もいると思います。ビジネス系ならTwitterやLinkedin、美容やグルメならinstagram、エンタメ系ならYoutubeやtictokなど、用途によって使い分けながら、上手に情報を得ている方が多いのではないでしょうか。「若者の本離れ/新聞離れ」ということが言われて久しいですが、若い頃からこうした情報収集の仕方が習慣いなっているので、あえて新聞や本で情報収集する必要性を感じづらくなっているかもしれません。

改めて、なぜ本や新聞を読む必要があるのか

しかし、わたしはここであえて若い方こそ本や新聞などで、情報収集するメリットがあると考えています。その理由は、①自分の興味関心の外の情報に触れることができる、②文章力や思考力を鍛えることができる、③SNSの発信によるセルフブランディングの強化ができる、と考えているからです。以下でそれぞれを掘り下げてみます。

メリット1)自分の興味関心の外の情報に触れることができる
SNSでの情報収集は、自分の興味関心のある情報を得る場合、非常に便利です。気になる人や団体をフォローし、リアルタイムで情報が入ってくることはSNSのメリットです。しかし、逆にいえば、フォローしていない情報は得にくいため、自分の興味の範囲内でしか世界を見ることができなくなるというデメリットがあります。その点新聞は、多岐にわたる分野で、選りすぐりのトピックが並べられており、発刊までに多くの人の目に触れているので、情報の信頼度が担保されています。そのため、多角的に世の中を捉えるためには、有効なツールだと思います。
では、そもそもなぜ自分の興味関心以外の情報に触れる必要があるのでしょうか。それは、世の中は常に変化しており、かつ有機的に絡み合っているので、「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉の通り、さまざまな分野で起こった変化が巡り巡って自分の生活やビジネス環境を大きく変化させる可能性があるからです。自分の興味関心の範囲だけで世界を見ていると、なかなかその変化に気づくことはできません。極端な話ですが、気がついたら、職を失う、ということもあり得る話です。ただ、逆にいえば、を先読みできれば、新たなビジネスの創出やチャンスを取り逃さずに生かすことができると思います。たとえ興味がない分野の情報でも、「このニュースが自分にとってどのような意味や影響があるのか」、という視点で読み解くことで理解が深まり、自身の仕事と結びつけることによってビジネス場面での活用ができるようになります。

メリット2)文章力や思考力を鍛えることができる
文章を読み解くための思考力を鍛えなければ、せっかく情報を得たとしても、正しく理解し、活用することはできません。加えて、他者が読んでもわかりやすい、論理的な文章を作成する力がないと、自分が情報発信する立場になった時に、発信した情報が受け手に正しく理解されず、誤解されてしまうことすらあります。本や新聞などは、文章のプロが書いた文章は、多くの人が関わって編集されているため、非常に質の高い文章に仕上がっています。そうした文章に触れることで、思考力、文章力は自ずと鍛えられてきます。

メリット3)SNSの発信によるセルフブランディングの強化ができる
上述のように、自分の興味関心以外の情報に触れ、鍛えた思考力や文章力を駆使して、本の感想やニュースに対する意見をSNSで発信していくことは、自分自身の興味関心や価値観を発信することに繋がります。こうしたことを通じて、自身のイメージを形成し、信頼度向上に繋げていくことができます。「自分はどういう人間か。どういう視点で世の中を見ていて、どういう意見を持っているのか」ということを継続的に発信することで、自分の専門性やポジションが明確になっていきます。情報の受け手であり続けることは楽ですが、積み上げた知識(=「ビジネス資本」)を活用して情報を発信する側に立つことで初めて、自分の考えを多くの人に知ってもらうことができます。更に、関心を持った方からフォローしてもらえれば繋がり(=「社会関係資本」)の形成にも繋がります。ここではSNSを情報収集のツールとから、情報発信のツールへとシフトしていくことが大切で、そのために、本や新聞などは発信のひとつのネタになります。自分の中に意見を止めることなく、どんどん外に発信していきましょう。

とは言っても、読書や新聞購読などは習慣になるまでには、体力や集中力を要するものです。まずは、周囲の仲間を巻き込んで「1日1ツイート、ニュース記事に対して意見を発信する」などルールを作り、ゲーム感覚で楽しんで続けていくのが良いと思います。情報の受け手にとどまることなく、情報を上手に活用しながら、皆さんが社会で自分らしくご活躍されることを期待しています。

石川 憂季

大学卒業後、2016年に大手建設会社に入社、本社の人事部と財務部を経験。2020年にIT企業に転職し、現在は人事として採用とキャリア支援を担当している。
趣味はカレー屋巡りとスパイスカレー作り。
GCDF-Japan キャリアカウンセラー
国家資格キャリアコンサルタント

Twitter https://twitter.com/cyuki_14
Note https://note.com/cyuki_14

プロティアン・キャリア協会からのお知らせ